徳舛瓦店 甍技塾 瓦葺きの魅力

瓦葺きの魅力

屋根と屋根材 ROOF & ROOFING 2004春号 屋根と屋根材 ROOF & ROOFING
2004 春号 掲載 / 2004年4月15日発行

建築・設計と屋根を結ぶ情報誌「屋根と屋根材 ROOF & ROOFING」(日本屋根経済新聞社 年4回発刊)に掲載している「瓦葺きの魅力」をご紹介します。

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本願寺・阿弥陀堂



本願寺・阿弥陀堂
【本願寺・阿弥陀堂】(重要文化財)
本願寺阿弥陀堂は、宝暦10年(1760)、親鸞聖人五百回大遠忌を迎えるにあたって、第17代法如上人の時代に再建されました。東西37m、南北42m、棟高さ24mの単層入母屋(いりもや)造としてはとても大きな建物です。中央に阿弥陀如来の木像が安置され、国の重要文化財にも指定された阿弥陀堂の見所は、瓦の大きさ、箕甲(みのこう)の納まり・大棟に甍(いらか)を積んでいること・獅子口(ししぐち)鬼瓦を使用していることなどです。浄土真宗本願寺派総本山の本堂としての、どっしりとしたおおらかなたたずまいは、参拝する多くの人々を優しく迎えてくれます。

瓦の大きさ
写真1 袖丸瓦の納まり瓦の大きさは、建物の大小によって変える必要があります。基本となる大きさは、使用頻度の一番多い平瓦の幅寸法を基準とします。またその他の瓦の大きさも、平瓦に合わせて決めていきます。おおよその場合、7寸幅の平瓦は、門や手水屋(ちょうずや)・袖塀などの3坪くらいまでの小さい建物に使用します。8寸幅は塀や鐘楼(しょうろう)の他、小さい山門や50坪までの建物に、9寸幅は一番使用する機会が多く、20坪以上の山門や大きめの築地塀(ついじべい)、庫裏・書院などの他、80〜200坪くらいの本堂に。1尺幅は150〜300坪、1尺1寸幅は300〜600坪、1尺2寸幅は600〜1,000坪、1尺3寸幅は1,000〜1,500坪の本堂などにそれぞれ使用されます。
阿弥陀堂の屋根は、933坪(3,080u)と相当大きく、1尺2寸幅(全長1尺3寸5分)の平瓦を使用しています。古い時代の平瓦の葺き足は、平瓦の全長の3分の1の長さにする場合が多く、阿弥陀堂の葺き足は4寸5分になっています。

寺院建築では、境内の中に必要に応じて、いろいろな種類の建物が配置されています。この場合、瓦の大きさを建物の大きさだけに合わせて決定すると、境内全体の調和を損ねることがあります。
少し大きい山門のあるような寺院では、本堂が150坪以下の場合でも、山門に9寸幅の平瓦を使用し、本堂には一回り大きい1尺幅の平瓦を用います。製造元によっては、使用頻度の多い平瓦の中間の大きさにあたる、8寸5分幅と9寸5分幅の平瓦を製作しているところもあります。

図ア 袖丸瓦の納まり図ア 袖丸瓦の納まり

箕甲の納まり
写真2 掛け瓦の納まり阿弥陀堂の箕甲(みのこう)の落差は非常に大きく、瓦を葺く前の野地板の状態では、降り棟の内側の位置から落ち始め、外側で曲率がきつくなるようなはまぐり状となっています。またそれに合わせて、大きな落差を補うために、深い垂れの袖丸瓦を4列も使用しています(写真@)。

袖丸瓦を2本以上葺く場合は、それぞれの袖丸瓦の背中と刀根丸瓦の背中を通る線が、放物線になるように、外側の袖丸瓦ほど、垂れの深いものを使用することになります(図ア)。阿弥陀堂では、箕甲の一番深いところで、外側から順に1尺7分・9寸4分・6寸1分・2寸5分の垂れ寸法となっています。
 またそれに合わせて、掛け瓦の勾配にも強弱をつけます(写真A)。拝み部分と破風尻部分では掛け瓦の勾配を8度くらいに、破風中央部の箕甲の落ちの深いところでは、10度から20度くらいに設定します。この強弱をつける度合いは、箕甲の落差の大きいときほど強く、小さいときほど弱くします。箕甲の落ちのない場合は、直屋根やむくり屋根と同様、掛け瓦の勾配は変えずに、すべて同じ共勾配で施工します。

大棟の甍
阿弥陀堂では大棟の最下部には、屋根の軒先に使用する唐草瓦と巴瓦が使われています(写真B)。これを甍(いらか)といい、屋根全体を華やかに飾り、大棟にリズムとインパクトを与える、意匠的な装飾にもなっています。また、地葺き部分と大棟を連結する重要な役目をにない、段数の多い大棟の重要なアクセントとなっています。大棟の強度を増すための土台としても有効で、獅子口鬼瓦や経の巻鬼瓦などを使用する、どっしりとしたたたずまいを見せる屋根によく似合います。また、甍は寄棟(よせむね)屋根や方形(ほうぎょう)屋根(写真C)にも施工する場合があります。 写真3 大棟の納まり

写真4 方形屋根の甍の例


獅子口鬼瓦
京都の町を歩くと、鬼瓦に白い漆喰を塗った屋根が目にとまります。獅子口鬼瓦(経の巻鬼瓦を含む)と呼ばれ、桧皮(ひわだ)や柿(こけら)葺きの屋根の棟端を飾る瓦として誕生しました。当初はひとつの鬼瓦としてではなく、熨斗(のし)瓦を積み上げた後、その上を唐草瓦と巴瓦で覆い、漆喰で塗り固めたところから始まったと思われます。いぶし銀の光の陰影の中で、白く輝く色合いが屋根全体を引き締め、いっそうきらびやかに見せてくれています(写真DE)。

写真5 大棟獅子口鬼瓦 写真6 降棟獅子口鬼瓦

写真7 大棟獅子口鬼瓦の納まり
阿弥陀堂の大棟の獅子口鬼瓦は、厚みが相当大きく、丸瓦2本の上に据えています
写真F)。

  阿弥陀堂は、昭和55年から59年にかけて保存修理工事が行われました。総瓦枚数96,312枚の屋根修復工事には、京都府瓦工事協同組合が共同で受注して携わっています。



本願寺
浄土真宗本願寺派の本山である本願寺(西本願寺)は、宗祖親鸞聖人によって開かれました。当初は、聖人の廟所(墓地)のありました京都の東山に創建されましたが、天正19年(1591)に豊臣秀吉により、現在の地(京都七条堀川)を与えられ、伽藍(がらん)が整えられました。桃山文化を代表する建物や庭園が数多く残されており、平成6年(1994)には、世界文化遺産に登録されました。現在は、阿弥陀堂の南に位置する御影堂(重文)の平成大修復工事が行われています。




瓦施工 / 京都府瓦工事協同組合



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