徳舛瓦店 甍技塾 瓦葺きの魅力

瓦葺きの魅力

屋根と屋根材 ROOF & ROOFING
2006 秋号 掲載 / 2006年10月15日発行

建築・設計と屋根を結ぶ情報誌「屋根と屋根材 ROOF & ROOFING」(日本屋根経済新聞社 年4回発刊)に掲載している「瓦葺きの魅力」をご紹介します。

「屋根と屋根材 ROOF & ROOFING」のご購入と紹介はこちらです。



常寂光寺・妙見堂

常寂光寺・妙見堂


常寂光寺・妙見堂【常寂光寺・妙見堂】
常寂光寺は京の街の西の端、嵯峨野めぐりのほぼ中央にたたずむ日蓮宗の寺院です。
妙見堂は、仁王門をくぐり境内を登ったところの本堂南側に、本殿と拝殿とが並んで建てられています。この御堂の見所は、割り付けの方法、芯の基準の出し方、棟の見映えなどです。
祀られている妙見菩薩(みょうけんぼさつ)は、北極星または北斗を象徴した菩薩様であることから、諸星の王として宇宙万物の運気を司り、平安時代以来京都畿内に数多く祀られて、尊崇されてきました。近年は豪商の帰依(きえ)により、転じて商業神となり、また安産・子孫繁栄・良縁恵与の菩薩様として広く庶民の尊信を集めています。

割り付け
  瓦屋根の割り付けは最初に芯を出す事から始めます。芯が入るということは、たとえば心に芯のある人物が魅力的で力強く、存在感があるのと同じように、瓦屋根にも芯の入るものとそうでないものとでは、見映えに大きな違いが出てきます。妙見堂のように入母屋屋根に掛け瓦を使用する場合は、大流れや妻面の芯の出し方はもとより、破風尻の割り付けにも気を配る必要があります。


芯の基準 芯を出す場合、よく軒先の真ん中を芯としたり、大棟際や妻面の壁際の芯を出すのに軒先の芯から直角に持ち上げて芯としたり、入母屋屋根の破風板の頂点から下げ振りを下ろして芯としたりする場合がありますが、これでは本当に芯を出したとはいえません。建物は、経年変化によってくるいが生じる場合もありますし、また新しいものでも多少の誤差はあるかもしれません。いくら屋根の上で正確に測ったとしても、下から眺めて分かるはずもないのです。建物を見る場合の本質は、地上から人が眺めてどのように見えるかであって、屋根の上でいくらよく見えても、それは葺き上がるまでのあいだだけのものです。たとえば、まっすぐに見せるためにわざとゆがめて葺いたり、遠近感を利用したり、目の錯覚を修正したりということも時には必要になってきます。


芯の出し方
軒先の芯(柱もしくは垂木と垂木の中心) 妻面壁際の芯(柱の中心)
基本的には、下から眺めたときに見えるものが芯となります。軒先では垂木(たるき)(写真1)や柱であり、大棟際では両破風板の真ん中です。また、妻面壁際では柱や組物・木連格子(きづれごうし)などの中心が芯となります(写真2)。仮に屋根がゆがんでいたとしても、その場合は垂木もゆがんでいるといえます。実際にはいくらゆがんでいても、軒先と大棟または壁面の芯の通りに合わせて葺くのが基本となります。しかし実際に葺く場合は、本葺きではある程度の振れに対応はできるのですが、簡略葺きの場合は桟瓦どうしがかみ合うため、軒先と直角に葺く必要があります。あまりにもゆがんでいる場合には、下から見て目立つほうの大棟や壁際の芯をそのままにしておいて、軒先で割り付けを左右に動かして加減をします。また、大流れの場合も大棟の芯の位置は動かさないで、軒先で加減をします。


破風尻の見映え
掛け瓦の瓦当と妻桟瓦の芯を合わせる 写真4 掛け瓦の瓦当の後ろに隅棟の台熨斗瓦がくる
入母屋屋根に簡略の掛け瓦を葺く場合には、一番下の掛け瓦の瓦当(がとう)の芯を、その下の桟瓦の桟山の芯に合わせて割り付けをします(写真3)。また、隅棟がその瓦当の位置から離れると、間が空いて格好がわるくなります。瓦当の厚みの真後ろあたりに隅棟の台熨斗瓦がくると、すっきりとした安定感のある見映えとなります(写真4)そのための割り付けは、妻面の桟瓦の桟芯と掛け瓦の出寸法の位置、隅棟の幅の三つの線を考慮して割り付けをします(図ア)

大棟の積み方
大棟 妙見堂の大棟には、面戸付き土居丸瓦(めんどつきどいまるかわら)を葺いた上に軒瓦を使用して甍瓦を積んでいます(写真5)

この場合、甍瓦と桟瓦との間隔があまり空かないように設定します。理想的な高さは、桟瓦の上に丸瓦を葺いたときに、甍瓦の瓦当がちょうど丸瓦の上に乗るくらいの高さです。 また甍瓦の反らせ方は(写真6・7)、棟の長さが短いこともあって糸たるみ線で1寸になっています。それに加えて鬼際の反り増しは、割り熨斗瓦の総高さ(7寸2分)の2割(1寸4分)に設定されていて、経の巻の鬼瓦を使った場合のゆったりとした反りとなっています(図イ)。   拝殿

妙見堂の大棟には、面戸付き土居丸瓦(めんどつきどいまるかわら)を葺いた上に軒瓦を使用して甍瓦を積んでいます(写真5)。この場合、甍瓦と桟瓦との間隔があまり空かないように設定します。理想的な高さは、桟瓦の上に丸瓦を葺いたときに、甍瓦の瓦当がちょうど丸瓦の上に乗るくらいの高さです。 また甍瓦の反らせ方は(写真6・7)、棟の長さが短いこともあって糸たるみ線で1寸になっています。
それに加えて鬼際の反り増しは、割り熨斗瓦の総高さ(7寸2分)の2割(1寸4分)に設定されていて、経の巻の鬼瓦を使った場合のゆったりとした反りとなっています(図イ)

本殿の大棟 拝殿の大棟

目地積み
目地積み妙見堂では棟の積み方を熨斗瓦に隙間を空けた目地積みにしています(写真8)。大きく反った熨斗瓦を用意して、すべての反り具合を5厘きざみで選り分け、反りの強いものを割り熨斗瓦に、緩いものを台熨斗瓦に使用するなど、使用箇所を決めて積んでいます。目地積みの利点は、通気性のよいこと、反り増しをつけやすいこと、熨斗瓦の隙間をひし形に透かせることによって意匠的に見えることなどです。とくに気を付けなければならない点は、熨斗瓦どうしの隙間をすべて同じ大きさに見せることです。棟の中央で上下の熨斗瓦が引っ付いて見えたり、鬼際で大きく透いて見えたりするのはよくありません。


小さい御堂の場合のまとめ方
小さい御堂は、大棟や降棟、掛け瓦など意匠的な部分が多いため、大半の目はそちらへ向けられるので、大きな屋根の平面をむらなく葺くような手ごわさはない反面、全体のバランスを整えるのがたいへん難しいといえます。一枚一枚の瓦の正確度に加えて、瓦の大きさや種類、棟の段数、曲線の組み合わせや反らせ方、勾配と厚み、光のあたる陰影など、屋根を葺く前のデザインとデッサンがとても重要であると思われます。





常寂光寺
「百人一首」で知られる嵯峨小倉山の中腹に位置する常寂光寺(じょうざっこうじ)は、太閤秀吉の宗門統制の命に逆らって、日蓮宗大本山本圀寺(ほんこくじ)16世の座を降りて隠栖した日ワ辮l(にっしんしょうにん)が開山です。もとは藤原定家の山荘があったところと伝えられ、その頃このあたり一帯を所有していた角倉了以(すみのくらりょうい)とその岳父(がくふ)が土地を寄進しました。ここは京都屈指の紅葉の名所でもあり、楓におおわれた石段を登ると、伏見桃山城の客殿を移築した本堂や、均整のとれた美しい多宝塔(重文)が建ち並んでいます。境内からは京都市内一円を眺望することができ、晩秋の紅葉の散りかかる風情は格別で、鎌倉時代の定家の和歌の世界を彷彿させます。

瓦施工 / 甍技塾 徳舛瓦店 有限会社



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